【8月9日(金)晴】東メボン → プレ・ループ
プリア・カン・パライの南に接して、アンコール・トムを挟んで西バライと対になっている人造湖がヤショヴァルマン一世(在位925 - 954)が造った東バライで、東西約七キロメートル、南北約一・八キロメートル、現在は水が干上がっている。
その中央の嘗ての人工島に建つ東メボンに移動。
◆ 東メボン(East Mebon)
ここは952年、ラージェンドラヴァルマン二世(在位944 - 968)によって造営されたヒンドゥー教のピラミッド型寺院。
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東側の石段を登る。 |
東バライに水が湛えられていた頃は船で渡ったそうだが、なるほど東桜門の石段の辺りが船着場に見えなくもない。
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船着場のような石段と東楼門に祠堂群。 |
桜門とはいえ遺構には門の風情は残っていない。
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東桜門の跡。 |
東桜門を入ると正面の壇上に五基の祠堂が建つのが見える。
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楼門を入ると五基の祠堂が……。 |
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中央の主祠堂と四基の副祠堂。 |
二壇目の基壇に建つ小祠堂には倒壊を防ぐためのつっかい棒が当てられている。
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手前が小祠堂。 |
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副祠堂の一基にデバターの跡が見える。 |
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副祠堂のデバター跡。 |
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副祠堂の偽扉。 |
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偽扉の楣に彫られたガルーダのレリーフ。 |
【楣(まぐさ)】
門や窓、出入り口などの上に渡した水平材(横木)。
祠堂や経蔵は煉瓦で作られている様子がよく分かるが、どの建物も親指がスッポリと入ってしまうくらいの穴が無数に空いている。この穴には嘗てダイヤモンドやルビーなどの宝石や金が嵌め込まれていたのだという。なるほどと思うが、実は壁面を飾った漆喰を剥がれにくくするための穴。
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煉瓦に開けられた無数の穴。 |
二壇目の南東角にある崩落寸前の建物は経蔵。
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崩れ落ちる寸前の経堂。 |
周壁には砂岩が使われている。
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砂岩で組まれた周壁。 |
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一壇目の様子。 |
二壇目の四隅には象の全身像が配されているのが珍しい。
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基壇手前の角の象が分かるだろうか。 |
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基壇の象は思いの外大きい。
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◆ プレ・ループ(Pre Rup)
東メボンから一・五キロメートル真南へ移動。
雰囲気が東メボンにそっくりなのは、東メボンを造営したと同じラージェンドラヴァルマン二世が建造しているからだろう。961年の建立。
ピラミッド型をしたヒンドゥー教寺院で、アンコール王朝最後の煉瓦建築物と言われており、こちらの方が幻想的で厳かな雰囲気が漂っている。
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右手に見える石段が入り口の東塔門。奥に中央祠堂群が見える。 |
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東塔門南側の三基の祠堂群。 |
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東塔門越しの中央祠堂は東メボンに似ている。 |
東塔門を抜けると三層に重なる基壇の様子がよく分かる。
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三層に重なる基壇と祠堂。 |
三層目の基壇の四隅に四基の副祠堂が配置されており、中央に中央祠堂が置かれているのも東メボンと同じ。
基壇東側中央石段の前には死者を荼毘に付すために使われたと言われている石槽が置かれている。
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中央の祠堂群。正面石段前の石槽。 |
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正面石段上から東塔門を見下ろす。真下に石槽が見える。 |
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経蔵(中央)と獅子像。 |
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副祠堂。 |
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中央祠堂。 |
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