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  2019年8月:シェムリアップ
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【8月9日(金)晴】プリア・カン

6時過ぎに食堂 "J All Day Dining" へ。

今朝の鶏クイティウ。

今日の朝食皿。

後ろのテーブルで女性が

♪Happy birthday to you, happy birthday to you...♪

と歌い出した。スマートフォンに向かって歌っているようだ。

彼女が席を立ってそばを通りかかったので『今日はどなたの誕生日ですか?』と声をかけると、仲の良い友人の誕生日なので歌ってしまったと言いながら、明るい表情で『パメラです』と自己紹介してきたので、こちらも応じて短く言葉を交わして『良い一日を……』

9時にホテル前に迎えに来たチャブさんのトゥクトゥクで出発。

昨日も一日中彼のトゥクトゥクに乗っているが、道路がどんなに渋滞してきても、他のバイクやトゥクトゥクがするように路側帯を走ることはしない、右・左折してくるトゥクトゥクや車を前に入れる、優しく実直な運転振りだ。

客を乗せているからばかりではなく、仕事に対する彼の誠実な姿勢が現れているのだろう。

路側帯を走らないチャブさん。

走り始めて間もなく、アンコール・ワットの手前でUターン、少し戻って再度Uターン。
訳が分からなかったが路端に停めた山のようにココナツを積んだ車に声をかけている。

飲めるように穴を開けてもらったココナツを二個、バイクの前のバスケットに放り込んで出発。

ココナツを二個調達。

アンコール・トムを突き抜けて北側のプリア・カンへ。

プリア・カン西入口前に到着したチャブさんとトゥクトゥク。

好い顔をしているチャブさん。

◆ プリア・カン(Preah Khan)

プリア・カンは仏教とヒンドゥー教の習合寺院で、名前の由来はかつて境内で発見された剣に由来し「聖なる剣」の意がある。寺院名の由来となった聖なる剣はプノンペンの国立博物館に収められている。

十二世紀初頭にジャヤーヴァルマン七世(在位1181 - 1218 or 1220)がヤショヴァルマン二世(在位1160 - 1166)の王宮の跡地に建造した寺院とされている。

両側にリンガを模した石柱が並ぶ西参道。

西参道の片隅で熱心に木槌を振るっている人がいたので声をかる。
カンボジアの伝統影絵芝居に使うスバエクに似た土産物の実演販売だった。Reng Chet と名乗り、材料はなめした牛革だそうだ。

Reng Chet さん。

Reng Chet さんの作品。

リンガが並ぶ参道を過ぎると、左右にナーガを引き合う阿修羅を配したテラスに出る。

ナーガを引く阿修羅とテラス。正面が西塔門。

テラス左右は乳海を現す環濠になっている。

西塔門。

西塔門を抜けさらに東進。

西塔門から真っ直ぐ伸び西門に続く参道。


西門。

西門を入ると石畳のテラスの先に中央祠堂を囲む周壁と正面の門が見える。左右の周壁に黒く開いた窓は今は失われてしまった連子格子窓のなごり。

かつてこの寺院には千人以上の僧侶が住み、それを支える荘園と十万人近い人が暮らしていたという。

ヒンドゥー教の神々や土地の聖霊らも境内に祀られていたが、後にヒンドゥー教を信じるジャヤーヴァルマン八世(在位1243 - 1295)によって仏像は破壊されてしまう。
現在はカンボジア国教である仏教の僧侶が境内で祈祷を行っている。

中央祠堂を囲む回廊と門。

回廊の門の上に彫られているレリーフ。

周壁内は崩落したままの石塊がゴロゴロ。

中央祠堂に向かって足場の悪い寺院中央を往くとかろうじて残るアーチ屋根の下に出た。

今にも崩れ落ちてきそうなアーチ屋根は修復されたものか。

中央祠堂の手前の座像。

中央祠堂の手前に残る三穴のリンガの台は珍しい。左(北側)からヴィシュヌ、シヴァ、ブラマーの三基のリンガが祀られていたという。

三穴のリンガ台。

三穴のリンガ台の奥のリンガ台とリンガ。

リンガの奥に進むと中央祠堂で中央に仏塔が置かれている。
石壁に開いた穴から漏れる明かりを仏塔の先端に合わせて、仏塔をロウソクに見立てる向きがあるそうだ。

中央祠堂の仏塔がロウソクに見える?

中央祠堂北側の窓から。


中央祠堂を囲む回廊の内部。

中央祠堂と第二回廊間は崩れた岩で埋まっている。

第二回廊と中央祠堂の間は岩々々。

瓦礫の中央にリンガが、左の壁には観世音菩薩像、右の壁には一段だけ彫られた連子窓とデバターが見える。

観世音菩薩(左)とリンガ(中央)と未完?の連子窓(右)。

観世音菩薩達。

周壁に彫られたデバター。

微笑んでいるようなデバター。

片付けられている第二回廊と中央祠堂の間を東へ。

中央祠堂の北東側にギリシャの建物を思わせる見事な円柱の二階建ての建物が残っている。図書館だったとも言われているが定かではない。

図書館だったのか?

東のテラスまで来たら、大きなスポアン(ガジュマル)の木が第二回廊を跨いでいる。

第二回廊を跨ぐスポアンの木。

H.R. ギーガーがデザインしたエイリアンを連想してしまった。

第二回廊を抜けると、参道の外れに殆ど顧みる人のいない建物が一つ。形から想像すると経蔵のようだ。

今にも崩れそうな経蔵?

東塔門に向かう参道も長い。

修復中の東塔門。

東塔門を出ると西塔門の前と同じようにテラスが設けられ、左右にナーガを引き合う阿修羅像が並ぶ。水位の下がった環濠も西側と同じ。

東側の環濠。

東側のテラスの先に広がるのは水が涸れたプリア・カン・パライ(人造湖)だ。今は雨季だというのに、このパライの様子からも今年は如何に雨が無いのかが分かる。

すっかり干上がったプリア・カン・パライ。

例年なら水に浮いているだろう小舟。

西塔門前からプリア・カン・パライの畔に移動して待機していたチャブさんを見つけてニャック・ポアンへ。

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