【8月9日(金)晴】ニャック・ポアン → タ・ソム
◆ ニャック・ポアン(Neak Poan)
プリア・カン・パライの中央の人工島に向かって真っ直ぐに伸びる板敷きの細い参道も、常ならば青々と湛えられた水に浮かんでいるのだろ、雨の無い雨季が恨めしい。
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水に浮く参道を想い浮かべながら……。 |
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参道の左右は枯れ野原。 |
ニャック・ポアンは十二世紀後半ジャヤーヴァルマン七世の統治時代にプリヤ・カーン・バライの中心にある丸い人工島に作られた仏教寺院。
四辺が東西南北に面した正方形のメインの池と、それぞれの辺に付属した小さな正方形の池で構成されている。メインの池は病を癒す不思議な水をたたえた伝説の湖「アナヴァタープタ」をモデルにして、四方にあるサブの池に水が流れ出すようになっている。
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北側のサブの池。奥がメインの池。 |
メインの池の中央には基壇と基壇にのる中央祠堂が築かれている。
ニャック・ポアンの名は二匹の蛇(ナーガ)が円形の基壇に絡んでいることに由来し「からみ合うヘビ」を意味している。
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メインの池と中央祠堂。 |
中央祠堂の横にあるのは神馬ヴァラーハ(観世音菩薩の化身)で、よく見ると神馬の後と首に人の姿が見える。これはヴァラーハが人食い鬼女から逃げる船乗り達を救おうとしている様子を表したもので「ヴァラーハ伝説」によるものらしい。
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ヴァラーハと二匹の蛇の頭。 |
【ヴァラーハ伝説】
シンハラとその仲間は航海中に難破し島に打ち上げられる。シンハラはそこに住む美しい女を妻にする。ある夜、シンハラは部屋のランプから『彼女は人喰い女で貴方たちに危険が迫っている。海辺にヴァラーハという馬が待っているから、それにのって逃げなさい。ただし馬に乗ったら決して目を開けてはなりません』と告げられる。シンハラは仲間たちと共に海辺へ行きヴァラーハにしがみついた。馬は天高く駆け上がったが目を開けなかったシンハラだけが助かった。この馬こそシンハラが崇めていた観世音菩薩の化身だった。
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ヴァラーハと船乗り達。 |
メインの池の水は四つのサブの池に流れるらしいが、如何にせん水が涸れていてはその様子も分からない。
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東側のサブの池。 |
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メイン池の水はこの口を通ってサブの池に注ぐ。 |
小さな遺跡なので池の周りを一巡し、桟橋のような参道を戻ってチャブさんの待つ対岸へ。
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戻り道はずいぶん景色が違うが同じ参道。 |
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参道近くまで寄ってきた放し飼いの牛。 |
プリア・カン・パライの北辺に沿って東の畔に建つタ・ソムに移動。
◆ タ・ソム(Ta Som)
十二世紀末、ジャヤーヴァルマン七世(在位1181 - 1220 or 1220)が父ダーラニンドラヴァルマン二世(在位1150 - 1160)に捧げて造営された仏教寺院。
寺院内を西から東に抜ける。
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西塔門と周壁。 |
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西塔門の四面塔。 |
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西塔門を抜けるとテラスと外回廊の西門。
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西門。 |
西門の左右の壁面には深く彫り込まれたデバターが多い。
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西門の左壁に彫られたデバター。 |
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西門右壁のデバターは束ねた髪の毛を持っている。 |
西門を抜けると中央祠堂を囲む内回廊で、ここも傷みが激しいがデバターが多い。
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中央祠堂を囲む内回廊と門。中央の塔は中央祠堂。 |
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回廊に刻まれたデバター。 |
内回廊の内部は崩れ落ちた大きな石材がゴロゴロしている。
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崩れた石材が転がる内回廊の内部。 |
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中央が中央祠堂。 |
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内回廊の東側の門と経蔵(右)。 |
周壁と回廊に挟まれた内庭には修復された門頭(?)が積まれていた。
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内庭に積まれた門頭? |
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門頭?のレリーフ。 |
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未整理、未修復の内庭。中央に見えるのが中央祠堂。 |
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内回廊(東側)と中央祠堂(中央の塔)。 |
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外回廊の東門。 |
西から入って周壁の東塔門まで一直線。
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東塔門。 |
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東塔門の四面塔。 |
東塔門を抜けて振り返ったらエライことになっている。塔門を覆っている木はリェップの木と言うそうだ。
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リェップの木に絡め取られた東塔門。 |
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リェップと東塔門前の観光客。 |
東塔門から入り口のあった西塔門へ戻る。
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