【8月11日(木)】水上人形劇場
インティメックスで買った土産物を置きにいったんホテルに戻る。
降り出した雨の中を4時過ぎにホアンキエム湖の北東端にある水上人形劇場(升龍木偶戯院/Doan mua roi Thang Long )に向かう。
この劇場はホーチミン主席が1956年に子供たちのために建てた劇場で、その後も修繕・改築が繰り返えされ、今日まで利用されてきた劇場だ。
ベトナムの水上人形劇はほぼ1000年の歴史と伝統を持つと言われている。元々はタイビン省の農民達が収穫の祭りの時などに屋外の水辺で演じていたものだ。11世紀から15世紀(李朝、陳朝)の頃に娯楽として宮廷に広まり今日に至っている。
演目は民話、伝説、神話などからとられた一話5分ほどのもので、一回の公演ではこれらの演目から10話余りが上演されている。
劇場前は雨宿りをする旅行者で溢れかえっている。人混みをかき分けて劇場入り口だと思った一階のドアを入ったら喫茶店だった。
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水上人形劇場(8月9日に撮影したもの)。 |
喫茶店の左手奥に劇場の入り口に繋がる階段があったので上っていったら劇場ロビーに入ってしまった。切符をチェックする係員らしい人は誰もいない。
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階段を上りきったら人形の出迎えを受けた。 |
ロビーに飾ってある人形を撮って開演時間を待つ。どの人形にも説明がないのでどんな芝居で使われる人形なのか定かではない。
人形はベトナムの農村地帯の水辺に植えられている「いちじく」の木から作られるそうだ。高さ30~100センチ、重さ1キロから5キロほどのものまで何種類かの大きさがあり、劇団に所属する人形彫りが製作するので劇団ごとにその姿や形・衣装が異なっているという。
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「魚が龍になる」の人形か? |
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こちらの人形は用途不明。 |
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「仙女の舞」の人形。 |
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窓の側は「レタイトー王の伝説」の人形。 |
劇場内に入れる扉が一カ所だけ開けられ、中に入る人達の切符をそこでチェックしていた。
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半券を切らずに返された入場券。 |
座席は「G列19番」、前から7列目の一番右端の席だった。
そばにいた場内案内嬢に写真撮影の可否を効いたら、撮影する人はここで1USD(約80円)払えと言うので、その場で彼女に払う。撮影許可証のようなものは無い。暗くなってしまえば誰が写真撮影料を払ったのかは分からないのでないだろうか。
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開演前の舞台、何処で人形が演じるのだろう。 |
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開演前の観客席。 |
開演間近になっても中央まで空席のままのG列、開演すると直ぐに先ほどの案内嬢が『中央まで行って構いませんよ』と促してくれた。
舞台の左手、一段高い所に人形劇の伴奏をする民族楽器奏者や、物語を歌う歌手達が陣取っている。
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民族楽器奏者達。 |
素朴な表情をした人形達が水上で演技をしているのだが、暫くはどんな仕掛けで水上の人形が動いているのか全く見当がつかなかった。演目が進む内に、舞台の正面に下がっているスダレの背後で長い竿の先に取り付けた人形を操っている様子が垣間見えた。
日本の山車からくり人形がヒモで操られるように、竿に人形を操作するヒモが仕込まれているようだ。人形の操作方法は秘密とされているらしい。
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人形や舟が交錯するときはどうやって操作しているんだろう? |
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人形の動作がキビキビして小気味よい。 |
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スダレの裏にかすかに人影が見える。 |
◆劇場案内人テウの口上(一部分)
道化師劇場案内人のテウがこの日上演される演目をコミカルに紹介する。
◆龍の踊り(一部分)
龍はこの後の演目にも登場する。ベトナムの古い文化と龍の結びつきは意外にも濃い。
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口から陽ならぬ水を噴くところが見物の龍の踊り(一部)。 |
◆競馬(一部分)
横一列に並ぶ馬の操作を始め、随所に秘密とされる人形の操作方法が隠されているようだ。
スダレの裏から人形を操作していた人達が手に手に蓮の花を持って舞台表に出て来てた。舞台上の寺院でスポットライトを浴びた神仏(英雄)に蓮の花を捧げてフィナーレ。
水上人形劇が収穫祭の奉納演芸に由来している名残だろう、豊かな実りを祈願しているように見える。
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蓮の花を捧げてフィナーレ。 |
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フィナーレで顔を見せた劇団員達。 |
5時から始まった公演は一時間ほどでフィナーレ。ベトナム語だけの舞台だったが、言葉が分からないにもかかわらず最後まで飽きずに楽しむことができたのは、見ているだけで話の展開が分かる舞台構成と人形のスピーディーでコミカルな動きのせいだろう。
6時頃に人形劇場を出て雨の上がった旧市街を歩く。
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ザーグー(Gia Ngu)通りは野菜や果物の行商が並ぶ路上市場だ。 |
カウゴー(Cau Go)通りを渡ってホアンキエム湖北端外にある噴水広場に出ようとしたら歩道でフランスパンを売っている。
今までも天秤棒で担いで売り歩いている人を見かけていたが、買う機会がなかったので『一つ幾らですか?』と訪ねたら黙って袋に入れ始めた。もう一度『幾らですか?』と聞くと『60,000VND』だと言う。240円もするのか。『高すぎるよ!』と言って断ったがパンを入れた袋を差し出しながら怒ったような顔で『代金を渡せ』。いくら何でもボッタクリだろう。無視して彼女の前を離れたが背後で悪たれをついていた。
ヒョッとしたら16,000VND(約64円)の聞き間違えだったのだろうか? もしそうなら彼女に悪いことをしてしまった。
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値段を聞き違ってしまったか、パン売りの小母さん。 |
噴水広場の横に白いお洒落な建物がある。イタリアのコーヒー会社 "Illy Cafe" やHSBC、KFCが入っている建物は日が落ちるに従ってお洒落に浮き上がってくる。
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Illi Cafeのビルと噴水。 |
ホテルまで戻ってスコールでグショ濡れのままの靴とソックスを脱ぎ、サンダルでQuan
Goc Daへ。バイン・ゴイ、バオ・ティット、ネム・クア・ベー(蟹肉入り揚げ春巻き)、ハノイビールで夕食。
食べ終わっても未だ腹に余裕があったので、目の前に座った若者が食べている挽肉を薄皮で巻いて揚げたモノ(名称不明)を追加。合計65,000VND(約260円)。
店のお母さんはこちらの顔を覚えてくれたようで、代金を受け取る時に出した両手を揃えて、こちらの手に持った札束を全部載せろと冗談を言ってきた。
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上からバオ・ティット、バイン・ゴイの片割れ、ネム・クア・ベー、バイン・ゴイ。 |
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