【5月1日(土)】咸享酒店
夕食は多倫路文化名人街入り口で見つけた「咸享酒店(Xianxiang
Jiudian)」に行く。
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咸享酒店。 |
何時ものことだが大きなレストランに一人で入っている客は他にいない。
ウエイトレス嬢に一人だが大丈夫かと聞いてから店に入り勧められたテーブルについた。
奥から出てきたでマネージャー氏がウエイトレス嬢に『一人の客をこに座らせて……』みたいなこと言っている。そんなやりとりを無視して案内された席に着き、とりあえずビールを頼む。
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青島ビール「純生」。 |
頼んだ料理は豆腐料理の盛り合わせ(咸享三霉)。
左から臭豆腐、毛豆(煮汁に入っている納豆みたいなもの)、千張(ユバを重ねたようなもので干した魚の香りがする)。このうち、毛豆が特に美味しかった。他の二品は塩味が濃い。12元(約168円)。
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咸享三霉。 |
紹興酔魚干(草魚の燻製)。これも塩味が濃かったが香りは抜群。20元(約280円)。
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紹興酔魚干。 |
刀豆焼土豆(ナタマメとジャガイモ炒め)。甘醤油でさっと炒めてある。これも味付けが濃い。18元(約252円)。
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刀豆焼土豆。 |
干菜燜肉。〈五香肉、干菜〉と但し書きがある。豚のバラ肉を干し野菜(高菜?)と一緒に角煮にしたもの。角煮も干し野菜も味が濃い。しこしこした歯触りの花巻と一緒に食べる。38元(約532円)。
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干菜燜肉。 |
紹興料理は全体に味が濃く塩辛い。さすがに量が多くて一人で全部を食べきることはできなかった。
以上、合計101元(約1,414円)の中には瓶ビール1本とお手ふき(シュリンクラップされた濡れたタオル)代の13元(約180円)が入っている。
勘定を済ませてから、豆腐料理の三種盛り合わせの名前がメニューになかったのでウエイトレス嬢に聞いてみた。こちらが訊きたいことが上手く伝わらず、「咸享三霉」だと教えてもらうのに手こずったが辛抱強く対応してくれた。
この店の本店は紹興にあり、紹興で生まれ育った魯迅の作品「孔乙已(Kongyiji))」の舞台にもなっており、魯迅お気に入りの店だったようだ。北京ではそのものズバリ「孔乙已」と言う名前の店に行ったことがある。
青空文庫では井上紅梅の訳で「孔乙已」を読むことができる。
紹興由来の咸享酒店に入って紹興酒を頼まなかったが、草臥れていたせいか紹興酒に気持ちが向かわなかったのは心残り。上海滞在中に再訪できるか。
「孔乙已」に出てくる茴香豆と酒(紹興酒)を注文する人が多いそうだが、そんなことを知ったのは帰国後のことだ。臭豆腐も人気の一品だと何処かに書かれていた。
咸享酒店入り口の前には魯迅の短編作品「孔乙已」の主人公(孔乙已)を模した像が建っている。
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入り口前に建つ「孔乙已」像。 |
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