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  2010年5月:上海
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海倫西路多倫路文化名人街横浜路百年老楊生煎王咸亨酒店

【5月1日(土)】多倫路文化名人街

四川北路に戻り北上して多倫路に入る。多倫路は四川北路に面して入り口に石の門が建っているので直ぐにそれと分かる。ここは多くの文化人が暮らしたところから文化名人街とも呼ばれているようだ。

多倫路文化名人街入り口の門。

門を入ると直ぐ右手に「咸享酒店(Xianxiang Jiudian)」と書かれた真っ赤な看板が建っている。紹興地方の料理店で、店の前には魯迅の作品「孔乙已」の主人公(孔乙已)を模した像が建っている。そういえば魯迅は紹興出身だ。店の右隣では瓶を並べて紹興酒を売っている。

咸享酒店と店の前の銅像。

咸享酒店を過ぎると左側に「上海多倫現代美術館」がある。今回の上海滞在中にこの前を何度か通ったが、この美術館が開いているのを見ることはなかった。

上海多倫現代美術館。

美術館の向かい側に「禧勃坊」の扁額が掛かる古い建物がある。「禧勃坊」のいわれは分からないが、その前には魯迅とその話に実を乗り出す若者の像がある。

禧勃坊。

魯迅記念館にはこの蝋人形バージョンがあるそうだが見落とした。実際にこんな場面を撮った写真があるらしく有名なシーンのようだ。

禧勃坊前の魯迅と身を乗り出す若者。

上海多倫現代美術館の右隣に建っているのは煉瓦造りの中国風の建物。屋根や赤い柱から寺院のように見えるが正面の壁についている十字架で教会だとわかる。正面入り口の上に「鴻徳堂」とある。魯迅と親交の深かった内山完造の妻・美喜子の追悼式がここで行われたらしい。

鴻徳堂。

多倫路文化名人街には魯迅像の他にも文化人達の銅像が建っている。像の脇に設けられた説明板が読めなくなっているものもあるが日本でも名の知れた人物像も建っている。

左は不明。右は文芸理論家で詩人の馮雪峰(1906 - 1976)。

左は不明。右は政治家・文学者・詩人・歴史家の郭沫若(1892 - 1978)。

横丁の奥にも窓に洗濯物を干しているアパートらしい洒落た建物が建っている。

低い時計塔の奥に建つ洒落たアパート。

老電影珈琲館(オールド・フィルム・カフェ)の入り口前のテラスで似顔絵ならぬ似顔像を造ってくれる人形師が仕事をしていた。北京の九門小吃の入り口でも似顔人形師の仕事ぶりを見たことがある。

老電影珈琲館。

老電影珈琲館横の路地で若いカメラマンのクルーが新婚カップルの結婚記念写真を撮影している。中国では若いカップルが結婚記念にプロのカメラマンに記念写真を撮ってもらう習わしがある。多倫路文化名人街は記念写真を撮るにはうってつけの建物が多く、他に何組かのカップルが記念撮影に訪れていた。

北京の任科くんと李翼さんが大量の結婚記念写真を送ってくれたっけ。

老電影珈琲館の横で結婚記念写真を撮るカップル。

ゆるくカーブした道に沿って建つ長屋風の三階建ての建物には小さな印鑑、書画、骨董などの店が並んで入っている。

多倫路の象徴とも言える三階建ての長屋。

多倫路を更に進むと出口の近くにモダンな洋館が建っている。コーヒーショップのようだが、ここでも若いカップルの結婚記念撮影が行われていた。

左端に多倫路のもう一つの門が見える。

洋館の入り口を見ると"KOALA GARDEN HOUSE & Eucalyptus Cafe 考拉花園旅舎"とある。ホテルのようだ。

考拉花園旅舎の入り口

多倫路文化名人街のもう一つの門を抜けると四川北路に出る。
特徴がある「譚木匠」の看板を北京でも見たのを思い出して、何を売っているのかと思い中に入ってみた。

何を売る店なのか、譚木匠。

木製の櫛や髪飾りを売る店だった。

ここでUターンして多倫路に戻る。

こちらは翡翠屋、古ポスター屋、額縁屋などが入っている長屋。

雲集閣(と読むのだろう)と書かれた白い建物の前に内画(インナー・ボトル・ペインティング)鼻烟壺の看板を出している店があったので覗いてみた。

翡翠・玉・琥珀などの工芸品も扱っている「雲集閣」。

店に入るとガラスケースの上で内画の制作を実演して見せてくれた。穂先が軸に対して90度曲がっている筆を瓶に入れて内側から絵を描いて行く。

筆以外の道具を使わずに描いてゆく。

右側の作品は完成までに一年かかったという。

実演して見せてくれた内画作家の周玉峰さん。

周玉峰さんがくれた名刺には『周玉峰 内画工作室』と書かれているだけで雲集閣と書かれていないところを見ると、雲集閣は店の名前ではなく建物の名前かも知れない。

中国茶店横の路地を覗くと奥の方に「壺庄」という赤い看板、何だろう?

多倫路の中程で見つけた路地を入る。

多倫路から見えた赤い看板には「壺庄 贈答品卸売り」とある。一番下には急須の絵があるので多分茶器セットの卸売り屋なのだろうが、この路地にはそれらしい店が見つからなかった。

看板の後に建つ家は屋根が低くて可愛らしい。窓をふさいだ形跡があるが壁が崩れそうだ。エアコンの屋外機がついているので未だ誰か住んでいるのだろう。

「壺庄」の看板と古い民家。

更に奥に進むと石庫門だ。屋根の向こうには高層ビル工事のクレーンが覗いている。この石庫門もいずれ無くなってゆくのだろう。

典型的な石庫門住宅。

石庫門裏手は今にも誰かがドアを開けて出てきそうだった。

石庫門を出て横浜路に向かう。

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