【9月20日】ワット・アルン(暁の寺院)
モーニングコールで起こされて開けてみた窓の外の空は厚い雲に覆われている。
眠い頭で起き出して6時過ぎに1階のParkview Restaurantで朝食、タイ汁麺(ビーフン)がGOOD!
寺院巡りのツアーは6時45分ホテルロビー集合。
参加者は他に若い女性の二人連れのみ。ミニバスで予定通りの時刻に出発。
ツアーのガイドは昨夜とは別の人。
道々、ガイド嬢が『今早朝、軍がストライキを起こしたので道路を走る車が極端に少なく、見る通りバンコク名物の交通渋滞がないです』と言う。
軍がストライキとは聞かない話しだ。
彼女はあまり上手ではない日本語で何度も「ストライキ」と言う。タイの軍隊はストライキ権が保証されているのか。
そんなことあり得ない変な話しだ。
『軍のストライキのせいで今日は何時も通る道を避けて走っています』と重ねて説明するが、こちらは初めて、何処を走ってくれようと同じことだ。
『王宮の見学は問題ありません』だと。
目的地につくまで彼女が何を説明しようとしているのかさっぱり分からない。
人気の無い中華街を抜けて市場のような所でバスを降りる。
ター・ティアン船着き場だ。
チャオ・プラヤー河を渡し船で対岸に渡る。
バンコクの9月は一年で一番降雨量が多い雨季で、市内を流れるチャオ・プラヤー河は茶色い水が力強く流れている。渡った対岸の船着き場を出るとそこはもうワット・アルン(暁寺)の入口だ。
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狭い通路の正面から寺院に入る。右手の緑色の塀の中は補修工事でもしているのだろう。 |
入口に繋がれていない犬が一匹。
観光客が通るしかもこんなに狭い通路にドテッと寝そべっている。目の前を通っても頭をあげるでもなく動く気配もない。
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狭い入口に犬が一匹。 |
バンコク滞在中、犬をしばしば見かけた。
どの犬もみすぼらしく野良犬のように見えるがそうでもない風情でどの犬もおとなしいと言うか穏やか。人を警戒すると言う気配を全く見せない。バンコクが仏教の地ゆえなのかもしれない。
ガイド嬢は集合時間だけ告げると何処かに消えてしまった。
敷地内の建造物がどんな配置になっているのかさえ説明してくれなかった。この寺にどんな故事来歴があるのか自分で調べるほかなさそうだ。以下、Wikipediaから得た情報を元に纏めてみた。
ワット・アルンのフルネームはワット・アルン・ラチャワラーラーム。
アルンは暁の意味。三島由紀夫の小説『暁の寺』の舞台になったことでも知られるが『暁の寺』は読んだことがない。
この寺の創建時の詳細はよく分かっていないらしい。
アユタヤ朝のペートラーチャー王時代(17世紀)にフランスの軍人が描いたチャオ・プラヤー河流域の地図にこの寺院が書き込まれていたことが分かっており、少なくともそれ以前には建てられていたと推測されている。
境内に入ってしまうと全体がどうなっているのか分からないが、高さ75m・台座の周囲234mの大仏塔を4つの小塔が取り囲んで須弥山を現わしている。
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急な階段を上ると一回りできる。大仏塔の一部と小塔。 |
基壇部分はラーマキエン物語に登場する鬼やガルーダ、ハヌマーンが飾り付けられている。
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鬼が小塔を支えるように周囲を囲んでいる。 |
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近くで見ると鬼はユーモラスな顔をしている。 |
塔の表面は陶器で飾られている。
陶器を用いた建築の装飾は中国美術の影響を受けたものでラーマ3世時代に多く用いられた様式だという。
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塔の表面の飾りは陶器製。 |
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屋根にチョーファー(飾り)を頂いた御堂。 |
基壇に上る階段横に立つ像も中国の影響を受けているように見られるが何の説明もない。
奈良の古い寺に行けば会えそうな像だが、創建当時のもではなく修復時に追加されたもののようにも見えるが本当のところはどうなのだろう。
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階段横に立つ中国風の像は大きさもまちまちだ。 |
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周囲を四天王が守る礼拝堂。 |
ワット・アルンは30分もあれば一回りできてしまうくらいこじんまりした寺院だった。
船着き場から対岸のター・ティアン船着き場に戻る。
茶色い河の波立つ水面を切って進む中古自動車のエンジンを積んだパワーボートが船尾に長く伸ばしたロッド先のスクリューから大きな飛沫を上げて走リ去る。
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ワット・アルンの船着き場。対岸がター・ティアン船着き場。 |
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チャオ・プラヤー河下流方面を見る。 |
渡し船の船尾から振り返るとワット・アルンの塔の配置の様子がよく分かる。
この寺院は離れてみた方が印象的な姿をしている。
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寺院の対岸からの方が大仏塔と周囲の小塔の配置がよく分かる。 |
ター・ティアン船着き場の桟橋で少年が投網を使っていたが獲物はゴミばかり。
照れて後ろを向いた少年の背中には『伝説、づづく』とあった。
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向けた背中に『伝説、つづく』とあった。 |
マイクロバスで次の目的地「ワット・プラケオ」に向かう。
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