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  2006年8月:学生航空連盟・大利根滑空場

【8月20日】学生航空連盟・大利根滑空場

関宿滑空場から土手沿いに北に向かい宝珠花橋で江戸川を渡って幸手市を抜け栗橋町に入る。利根川大橋を渡る国道4号線から橋の手前で別れて直進、JR宇都宮線のガードをくぐって東武日光線の踏切を渡る。東武日光線利根川鉄橋の上流およそ300mの利根川河川敷きに広がるのが読売大利根滑空場だ。

ここで活動しているのが学生航空連盟(SAF/Student Air Federation)でNPO法人関宿滑空場のSAF飛行クラブとは姉妹関係にあるという。
この読売大利根滑空場は学生航空連盟(SAF)が単独で運営しているとのこと、機材の整備から滑空場のメンテナンス(夏はレーンの草刈りが大仕事)、滑空本部の運営と手がいくらあっても足らないとは関宿滑空場でモーターグライダー "dimona" に乗せてくれた久野さん。

利根川の土手の前に接地された滑空本部。

本部脇で曳航を待つ機体。

JA2234 "Ka6E"、単座機。関宿でレストア中のJA2233 "Ka8B"とは連番だ。

JA2571 "B1-PW-5D"、単座機。シートがお洒落だ。

学生航空連盟 (SAF)のサイトにも詳細に書かれているが、ここで簡単に同連盟を紹介させていただく。SAF飛行クラブを紹介したページの記述と重複する部分があるが姉妹クラブの紹介と言うことでご容赦を。

■学生航空連盟(SAF)について
1952年2月 発足。読売新聞社は航空思想普及のため全日本学生航空連盟を結成。
その後、大学生、高校生の会員増加に伴い機構が強化され学生航空連盟と改称。二子玉川読売滑空場を練習場とし、当初は1機で活動していた。
1969年2月 二子玉川滑空場返還に伴い二子玉川での訓練終了。
1969年3月 会員の手作業で開墾された読売大利根滑空場オープン。
1991年2月 学航連モーターグライダークラブ発足、後にSAF飛行クラブと改称。
1971年4月 ASK-13 JA2130が読売大利根滑空場で初飛行。
2006年5月 ASK-13 JA2130総飛行回数36,000回を記録、現在も記録を更新中。
◆所有機
ASK-13 JA2130 1971(昭和46)年製 木製主翼・鋼管胴体 羽布張り
Ka8B JA2233 1963(昭和38)年製 木製主翼・鋼管胴体 羽布張り
Ka6E JA2234 1969(昭和44)年製 木製主翼・木製胴体 羽布張り
B1-PW-5D JA2571 2005(平成17)年 ポーランド製 FRP製

■機体の材質と耐久性について

一般の人は昭和30年、40年代の機体を老朽機として恐れるが、木製機は、金属製機(主に、アルミニウム)やFRP製機と違って寿命がない。15年から20年に一度、状態を見ながらオーバーホールを施し利用し続けることができる。
痛んできた木の部分を斜めに切り取り、新たに成形した木材部分を接着し直せば問題ない。日本では技術伝承がうまくなされておらず、現在は数人の技術者しかいないが、ヨーロッパでは木製機が多くの技術者に支えられ、現在も50年以上経った機体が数多く飛んでいる。

1970年代には競合の金属製機L-13 Blanik(チェコ・スロバキア製)のグライダーが輸入されていました。共に20数機ずつ飛んで飛行性能的には互角でした。
金属機であるが故に金属疲労は宿命です。3,000時間、15,000飛行回、又は25年のいずれか早い時期がメーカーが定めた寿命でした。
私が学生時代に乗っていたL-13 JA2207と言う機体も1977(昭和52)年3月に輸入され飛行開始しましたが、1987(昭和62)年7月に総飛行時間1,300時間48分、12,358回飛んで廃棄処分になりました。 1990年代頃にはほとんどのブラニクが姿を消していきました。
その6年も前から飛び始めたASK-13 JA2130は35年経っても普通の顔をして飛んでいます……恐るべしASK-13。

(久野浩樹氏/学生航空連盟 教官・談)

東武日光線が利根川を渡る鉄橋のく、滑空場の東端ではウインチが黙々とグライダーを曳き続けている。この滑空場はウインチ曳航がメインになっているそうだ。

ドイツ・トースト社製2連ウインチ。

ウインチで離陸するJA2130 "ASK13"。この機体は1971年製の複座で操縦性がよく初心者にも扱いやすいと久野さんが教えてくれた。学生が入れ代わり立ち代わり搭乗して飛び立ってゆく。ワイヤーに付いているのはパラシュートで機体をリリースしたワイヤがウインチで巻取られるときにフリー落下しないように取り付けられている。400mから500m位上昇したところでワイヤーをリリースして滑空に入る。

急角度で離陸する様子が間近に見られる。教官は久野さん。

次の動画でウインチ曳航の迫力が伝わるだろか?

  • このページの写真・動画以外の滑空場・飛行クラブ・機体に関する情報はすべて学生航空連盟(SAF) 教官・久野浩樹さんとSAF飛行クラブの関口庄一さんに提供していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

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