【Ka8Bについて】
木製主翼・鋼管胴体・羽布張りのグライダーで正式呼称はK8B。Alexander
Schleicher社の名設計者Rudolf Kaiser氏(1991年没)の作。1957年から1976年の間に875機製作された(メーカーのホームページによる)。
Kaiser氏が設計した機体は当初「Ka6」などと表記されていた。その後「K7」「K8」「K10」となり、さらに社名のイニシャルAとSも加わって「ASK13」「ASK21」「ASK23」と変わっていった。
グライダー愛好家達は「K8」を『カー・エイト』と呼んでいる。これにはいくつかの説がある。製造元のAlexander Schleicher社が「K」の代わりに「Ka」と表記した時代があったため、この古い呼称と混同して「K8」を「Ka8」と過ったという説。あるいはドイツ語で「K」を『カー』と読むことに由来しているという説。さらには、設計者のKaiser氏から採ったという説などなど。だが、いずれも伝聞の域を出ない。
本当の所はどうであれ現在も多くの人が親しみを込め「K8」を『カー・エイト』と呼んでいる。
Ka8B JA2233は43年前の1963(昭和38)年12月17日にドイツで製造された。製造番号はKa8の267号機を示す8267。ドイツ国内では1,293時間00分、2,990回飛行している。
その後、ドイツ バンベルグ(Bamberg)にあるハンス・アイヒェルスドルファー(Hans Eichelsdorfer)社で現在も栗橋の読売大利根滑空場で活躍しているKa6E
JA2234と一緒にオーバーホールされ日本に輸入されてきた。
日本では1979(昭和54)年1月25日に関宿滑空場で耐空検査(車の車検に相当)に合格している。
青山学院大学航空部で1997(平成9)年3月28日まで飛んでいた。総飛行時間2,502時間55分、8,353回。同大学での飛行は1,209時間55分、5,363回になる。1回平均は13分32秒。ほとんどがウインチ発航の中で上出来の飛行成績だろう。
同大学では高性能複座機と単座機を導入した頃に部員数が減少してしまいKa8Bの出番も激減、以降格納庫に眠ることになってしまった。
2006年6月まで関宿滑空場の格納庫に保管されていたが縁あって同6月、学生航空連盟(SAF)に売却された。
学生航空連盟では飛行練習をASK-13(複座機)で行い練習生の技量が上がってきたらKa6E(単座機)に移行するが、両機の操縦特性差が大きくKa6Eを初めての単座機とするには少しハードルが高くスムーズな技量アップに最適とは言いがたい面があるのも事実だ。
そんな状況を背景に2006年8月6日から学生航空連盟に所属する学生有志達の手でKa8Bのレストアが始まった。
資料提供:久野浩樹氏(学生航空連盟 教官)
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