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始動広島NPO法人関宿滑空場学生航空連盟(SAF)Ka8Bのレストアバンコク北京(10月)

  2006年9月: Ka8Bのレストア

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【9月2日】機体と主翼

関宿滑空場の新格納庫で2006年8月6日から元関宿滑空場長の佐藤さん指導の元、学生航空連盟所属の学生達がKa8Bのレストアに取り組んでいる。
関宿滑空場の存在を知ったのが2006年の5月。何度か滑空場に通う中、8月下旬だったと思うがSAF飛行クラブの関口さんがこのプロジェクトの存在を教えてくださった。

関宿滑空場ならびに学生航空連盟のご配慮でこの貴重なプロジェクトの撮影を続けることができた。実際に撮影を始めたのは9月に入ってからだ。温かいご配慮をくださった関係者の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。
また、このテーマの全ページは学生航空連盟教官の久野浩樹さんとSAF飛行クラブの関口庄一さんに監修して頂きました。併せてお二人にお礼申し上げます。

【Ka8Bについて】

木製主翼・鋼管胴体・羽布張りのグライダーで正式呼称はK8B。Alexander Schleicher社の名設計者Rudolf Kaiser氏(1991年没)の作。1957年から1976年の間に875機製作された(メーカーのホームページによる)。

Kaiser氏が設計した機体は当初「Ka6」などと表記されていた。その後「K7」「K8」「K10」となり、さらに社名のイニシャルAとSも加わって「ASK13」「ASK21」「ASK23」と変わっていった。

グライダー愛好家達は「K8」を『カー・エイト』と呼んでいる。これにはいくつかの説がある。製造元のAlexander Schleicher社が「K」の代わりに「Ka」と表記した時代があったため、この古い呼称と混同して「K8」を「Ka8」と過ったという説。あるいはドイツ語で「K」を『カー』と読むことに由来しているという説。さらには、設計者のKaiser氏から採ったという説などなど。だが、いずれも伝聞の域を出ない。
本当の所はどうであれ現在も多くの人が親しみを込め「K8」を『カー・エイト』と呼んでいる。

Ka8B JA2233は43年前の1963(昭和38)年12月17日にドイツで製造された。製造番号はKa8の267号機を示す8267。ドイツ国内では1,293時間00分、2,990回飛行している。
その後、ドイツ バンベルグ(Bamberg)にあるハンス・アイヒェルスドルファー(Hans Eichelsdorfer)社で現在も栗橋の読売大利根滑空場で活躍しているKa6E JA2234と一緒にオーバーホールされ日本に輸入されてきた。

日本では1979(昭和54)年1月25日に関宿滑空場で耐空検査(車の車検に相当)に合格している。
青山学院大学航空部で1997(平成9)年3月28日まで飛んでいた。総飛行時間2,502時間55分、8,353回。同大学での飛行は1,209時間55分、5,363回になる。1回平均は13分32秒。ほとんどがウインチ発航の中で上出来の飛行成績だろう。
同大学では高性能複座機と単座機を導入した頃に部員数が減少してしまいKa8Bの出番も激減、以降格納庫に眠ることになってしまった。

2006年6月まで関宿滑空場の格納庫に保管されていたが縁あって同6月、学生航空連盟(SAF)に売却された。
学生航空連盟では飛行練習をASK-13(複座機)で行い練習生の技量が上がってきたらKa6E(単座機)に移行するが、両機の操縦特性差が大きくKa6Eを初めての単座機とするには少しハードルが高くスムーズな技量アップに最適とは言いがたい面があるのも事実だ。
そんな状況を背景に2006年8月6日から学生航空連盟に所属する学生有志達の手でKa8Bのレストアが始まった。

資料提供:久野浩樹氏(学生航空連盟 教官)

関宿滑空場にKa8Bのレストア状況を覗きにいった。格納庫に到着した11時過ぎの江戸川上空には未だ機影が無い。
今月(9月)末にはのこの機で空を飛びたいのだと学生達のリーダー冨永くんが話してくれた。

指導の手を休めて空を仰ぎ雲の様子を見た佐藤さんが学生達を煽るように「上空は秋だなぁ、飛ぶには絶好のコンディションだ、こんな日はそう無いぞ」とぽつり。

そんな佐藤さんの独り言を背に学生達は流れる汗を拭う手も惜しむように作業を続けていた。

レストア作業が続く関宿滑空場 新格納庫。

全身真っ赤な機体は空に舞えばさながらジャイアント赤トンボだ。

機内のワイヤリングをする田口さんは学生航空連盟の教官を目指している。

無線モニターの取り付け位置と固定方法を熟考中。

佐藤さんの一言がヒントで初めからここにあったように納まったモニター。

無線モニターの位置が問題ないか天蓋を取り付けて確認する。

レストアに使われる諸々達。

佐藤さんの指導を受ける冨永くん。

主翼のエルロンを動かす『ベルクランク』を取り付ける。

塗り上がった主翼の塗装をコンパウンドでさらに磨きをかける武村、小禄、河野くん達。

主翼にサンダーをかける北海くん。

翼端を塗装するためにコンプレッサーの近くに主翼を移動する。

真っ白な主翼の端は真っ赤に塗られると塗装は完成する。

水平尾翼にコンパウンドをかける元ジャンボジェット機のパイロット森さんと北海くん。

小禄くんと柴田くんに天蓋のマスキング方法を指導する佐藤さん。

翼端の赤色塗料を調合する冨永くん。赤は色合わせが難しいんだと後から佐藤さん。

乾燥途中で古い塗料が溶けて縮緬模様になった部分ができてしまう。
「後で修整しないとな」と塗装を担当した佐藤さん。


(後列左から)昼食注文中の北海くん、田口さん、武村くん、小禄くん、森さん。
(前列左から)河野くん、柴田くん、冨永くん、佐藤さん。

1時過ぎまで続いた作業を中断してコンビニ弁当で昼食。その後学生達は時間を惜しむように空に向かって行った。


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