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  2006年6月:翠鸞ライブ「始動」

【6月11日】翠鸞ライブ「始動」

渋谷の駅を出ると傘無しでは濡れてしまうほどの降りになっていた。人通りの少ない明治通りを恵比須方向に向かい並木橋交叉点の手前まで来ると見慣れた大きな四葉のクローバー、自宅隣りのスーパーマーケット「ライフ」と同じこちらも「ライフ」だったが赤を基調にしたお洒落な外装だった。「ライフ」はこんな展開もしていたのか。
並木橋交叉点を左に入るとライブ・スタジオ「CLUB CRAWL」のシックな入口が見えて来る。
今夜はここで「翠鸞」の初企画によるライブがある。タイトルは『始動』。

CLUB CROWLの入口はライブ・ハウスらしからぬシックな趣だ。

入口で友だちと談笑している浅井さんに会う。初企画の当事者の一人だと言うのに緊張していう風でもない。先日のお礼にと丁寧なプレゼントに添えて筆書きのメッセージをいただいてしまった。一緒に時間がある時に聴いてみてはといってMDも一枚添えられた。恐縮。MDは私の知らない「PE'Z」の『九月の空』だった。

ドアを空けると直ぐにB1に降りる階段があり踊り場には控え目なプログラムが壁に寄りかかるように立てられている。ライブ・スタジオは壁一面ミュージシャンのビラがベタベタ貼ってあることが多いのだが、ここには何も貼ってない。経営者の方針なのか清潔な印象が残った。

階段踊り場の控え目なプログラム掲示板。

スタジオに入ると左手にバーカウンター。早速ビールをもらう。飲み物は使い回しのカップが使われていてここにも経営者の姿勢を見た思いがした。

バーカウンター上に架けられたPEPSI-COLAの青がきれいだ。

バーカウンター右端に「本日のBAND」が掲示されている。翠鸞手作りの黒いプログラムに今日に向けた彼らの意気込みが見える。

バーカウンター右端に掲示されている「本日のBAND」。

開演を待つステージの手前には出演者を保護するためかあるいは観客が寄りかかるためなのか手摺が設けられている。既にステージ両脇にはセキュリ・ティスタッフが立っていた(セキュリティ・スタッフは冗談です)。

開演を待つステージと両脇に立つセキュリティ・スタッフか?

JOBS」の演奏で『始動』は開演。
彼らの演奏の内「おもちゃ箱」が印象に残った。イントロの繰り返し部分だけチョコッと紹介する。
  大人になる前に隠した 僕の真っ赤なおもちゃ箱
  大人になる前に隠した 僕の真っ赤なおもちゃ箱
  みんなガ来るから隠した 僕の真っ赤なおもちゃ箱
  みんなガ来るから隠した みんなガ来る前に隠した
    :

JOBS/岡本雄太(V)、阿部賢哉(G)、五影壮一郎(B)、清水庸一(Ds)

「JOBs」の演奏が終わった休憩時間に見覚えのある人から声をかけられた。新橋「雑穀」のカウンターにいたエツコさんだった。今は雑穀を卒業して間もなくお母さんになると言う。エツコさん「オメデトウ!」。
雑穀の元関係者一同と『始動』を聴きに来たそうだ。『始動』公演終了後エツコさんのお相手にも引き合わせてもらった。「何時までもお幸せに!」。

左からヒロミさん、エツコさん、トモコさん、マユさんの雑穀美女軍団。


翠鸞用の準備が進むステージのセット。

川島田ユミヲさんが朗読する詩で『始動』の方向と色が見えた。それは子供の頃まだ若い叔母に連れられて行った村の外れの鎮守の森。そこで開かれたお祭り・盆踊りの世界だ。そんな経験はないがそんな情景が思い浮ぶオープニング『始動』の演出だった。

詩を朗読する川島田ユミヲさん。

翠鸞登場。のっけからテーマソングとでも言うべき「事きるまで」を熱唱する浅井さん、以前よりもスリムになっているのに声量がが増しているようだ。
ステージの進行もMCが一切なく曲と曲の間は川島田ユミヲさんが朗読する翠鸞の世界で埋められていった。

「事きるまで」は翠鸞の生きざまを唄っているのか、迷いがない。

ギタリストの植松達郎さんの写真はいつも撮り難い。後ろ向きではありません、念のため。

ステージの上では全員が素足だった。これ、意外でした。

スタイリッシュな仲里豊さんのベースはいつ見てもかっこいい。

ドラムスの稲森勉さん、今日はサングラス無しだった。

『始動』の後半はいつものように浅井さんのMCで進められていった。彼女、喋らずに唄うのに慣れていないのか、後半冒頭は「やっと喋れます」の一言だった。自分でシャベリながらの方がステージのテンポをとりやすいのかもしれない。

会場内は身動きがとれないくらい、エアコンが効かないくらい暑くなっていた。

演奏が終わって会場の後ろでは翠鸞のCDが販売された。

会場で販売された手作り風ペーパージャケット入りのCDはの筆による翠鸞の文字と百合、牡丹 (?)、蜂は誰が書いたものなのか。

ペーパージャケット入りCD。

今日の公演を陰で支えた調整卓コーナー。

プログラムは、音楽・JOBs/翠鸞、詩の朗読・川島田ユミヲ、衣装デザイン製作・大竹一代。
翠鸞の演奏曲目は、無題(SE)、事きるまで、出帆、赤い筒、紅乱、想ひ、月夜、行進、ゆらら、群れ、始動、白日夢、帰り道。
『始動』は詩の朗読を織りまぜた進行もあってか、彼らが演奏を通じて表現しようとしている思いガ分かりやすく伝わってきた。演奏された曲のオーダーもメリハリガありステージも客席も最後まで気持ち良い緊張感に包まれていた。

その反面、情念の世界、生死の世界をストレートに表現する難しさに喘いでいるようにも見えた。今日の演奏を見てもう一皮剥ければもっとパワフルで洗練されたグループになるだろうなと思った。