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 2018年8月:台南
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【8月20日(月)晴】延平郡王祠

衛民街から興華街、萬昌街、府前路一段を経て延平郡王祠へ。
府前路一段から開山路に入ると、緑を背に白い大きな乗馬像が建っている。鄭成功の石像だ。

鄭成功像。

延平郡王祠は鄭成功を祀る祠で周囲は公園になっている。

水が少なく足元丸見えの前池の龍。

永暦16(1662)年に安平でその生涯を閉じた鄭成功の事績と人柄をたたえるために、同年、彼を慕う人達によって「開台聖王廟」として建立され、その後の社会情勢の影響を受けてその名も開山王廟、明延平郡王祠、開山神社、そして再び延平郡王祠と変遷している。

開山路に面しているのが「明延平郡王祠」の扁額がかかる大門。

開山路からの延平郡王祠(手前は大門)。

上の写真の更に左手に照壁と香炉の形をした修復記念石炉がある。

照壁と明延平郡王祠修復記念石炉。

照壁と修復記念石炉の真向かいに、横梁中央に国民党の紋章「青天白日」を載せ「忠肝義胆」と刻んだ碑坊と、その奥に延平郡王祠の正門(三川門)がある。

牌坊と奥が正門。

碑坊の石柱には白崇禧(1893~1966)による「孤臣秉精忠五馬奔江留取汗青垂宇宙」(右柱)、「正人扶正義七鯤拓土莫将成敗論英雄」(右柱)の対聯が刻まれている。

これは鄭成功の故事に因んで刻まれたもので、右は「最後の忠信は一人の裏切りによって失敗した」、左は「沿海を開拓した思いは失敗したとしても英雄である」くらいの意味らしい。

1947年に台北で起こり全台湾に広がった二二八事件を治めるために、当時の国民党政府から台湾に派遣された白崇禧・国防部長が延平郡王祠を参り、この碑坊を献じ対聯を刻んだこと、そして、その後の経緯も併せて説明板にある。

延平郡王祠とあるが碑坊の説明をしている。

説明板を読んでいておかしな仮名を見つけた。
「さ」を左右反転させた「ち」、「あ」の一画目を消した「め」がそれだが『何故この二文字だけが……?』の疑問は残ったまま。

おかしな「ち」と「め」。

碑坊の奥の正門には「前無古人」の扁額がかかっている。
「前無古人 後無來者」の前の句だが、これは台湾の俗語とされており、その意味は『後にも先にもこの人しかいない。』 か?
「前、後」を「上、下」にすると『天上天下 唯我独尊』になるけど、意味がだいぶ違うな。

「前無古人」の扁額がかかる正門。

正門を入ると中庭、正面が1947年から1963年に掛けて改修作業が進められ、1964年に完成した正殿。

静けさが漂う正殿。

正門を入って直ぐ右側が甘輝将軍祠になっている。

甘輝将軍祠入り口。

甘輝将軍は中国福建省海澄の出身、小柄ながら戦に長けていたという。印を持つ像から印官と呼ばれる。
1658年、厦門に拠っていた鄭成功が北伐軍を興すと、甘輝は先鋒としてこれに加わり北進するも、翌年7月、南京で捕虜となり処刑される。

手に印を持つ甘輝将軍像。

正門を入って左側にあるのが張萬禮将軍祠。

張萬禮将軍祠入り口。

張萬禮将軍は福建省平和出身で張要が本名。剣を持つ像から剣官と呼ばれる。
鄭成功に従って功績を積むも1658年の南京侵攻時、捕虜となり自死する。

甘輝将軍は『甘輝将軍は1658年の南京侵攻時に捕虜になって処刑』と説明板にあるので、張萬禮将軍の説明板にある1658年の南京侵攻も甘輝将軍が向かったのと同じ戦いだったのか? どちらの将軍もそこで捕虜になり、方や処刑、方や自死。捕虜になった時期が違うのか、詳細は不明。

剣を持つ故に剣館と呼ばれる張萬禮将軍像。

甘輝将軍祠の前に続く東廡(庇/実際は北側の回廊)、張萬禮将軍廟の前に続く西廡(庇/実際は南側の回廊)には鄭成功の文臣や武将の位牌・儀仗などが祀られてる。

東廡に並ぶ文臣武将の位牌。

東廡の一番奥に古い井戸があるが、正殿改修時に使われた井戸とも思えず、この井戸の由縁が不明。あるいは鄭成功ゆかりの井戸の地上部分だけを何処からか持ってきただけなのか?

古井戸。

東廡から正殿に入る。

正殿正面の祭壇。

祭壇に祀られた鄭成功像は台湾の彫刻家・楊英風(1926 - 1997)が当時の台湾省立博物館に収蔵されていた肖像画をもとに1961年に完成したもの。

文官姿の鄭成功像。

祭壇全景。

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