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  2006年10月:北京
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【10月11日】 NITS・大宅門・十五号

6時起床。シャワーを浴びてメールをチェック。

8時、16階の専用ラウンジで朝食。
期待していた朝食は料理の種類が少なくがっかり。

既に食事を終えたらしい隣の席から声をかけられた。
声の主は患者のエンジニアに付き添って北京に来ているという鍼灸師Zhou Jamesさん。彼はアメリカで仕事をしていると言う。

少し離れたテーブルでは車椅子からソファーに移った中国人らしい老人がこれも中国人らしい女性通訳と一緒にノートPCを間に白人と熱心に話し込んでいる。その老人がZhouさんのクライアントで彼も大変な技術者なんだそうだ。どんなに大変な人なのかは聞かなかった。

コーヒーを飲みながら四方山話の後、痛むところはないかというので右肘を痛めているというと、彼は立ち上がって傍に来た。

道具がないからと言いながらマッチを取り出し、痛む箇所を確認するように前腕筋を指先でなぞる。
指先は殆ど肌に触れていない。ポイントが分かったのがマッチ棒の先でほんの一瞬その部分にそっと触れた。気のせいではなく鈍い痛みがすっと軽くなった。

気巧のような術なのだろうか、Zhouさんはアメリカでは有名なAcupuncturistだと自己紹介してくれた。
自分で『有名な…』というあたり、見た目は中国人だが精神構造はアメリカ人なんだろうな。

9時30分、于くんと共にホテルを出て全国情報技術標準化技術委員会(NITS)に向かう。

地下鉄で崇文門から雍和宮 (Yonghe Gong) 駅へ移動、徒歩5分でNITSへ。

代 (戴*) 紅さんの事務所は昨年訪問した事務所裏手の取り壊しを待っているようなビルの2階に移っていた。かつて役人の宿舎だったそうで新しい事務所ビルが完成するまでの仮事務所になっている。

  • 代さんの名刺には戴と書いてあるのだがご本人のメールには代と書いてある。どうも代が本名のようだ。

10時の約束に15分ほど遅れる。折よくCESIの入り口でBillさんと会ったので一緒に代さんのオフィスに向かう。
代さんと日本の懸案事項、来年のセミナーの計画などについて打合せる。

代さんの事務所はCECI裏手の建物、右手の階段を上ってさらに裏手に回る。

ここが役所の事務所かと思われる質素な建物。

ドアを開けると代さんの顔があった。

写真を撮るというと慌てて机の上を片付けた代さん。

11時を少し過ぎたところでビルさん、于くん、代さんと4人でランチに出かける。

車は代さんの車でドライバーも代さん。和平里西街 (Hepingli Xijie) を真直ぐ北4環東路にぶつかる手前まで15分くらい走っただろうか。

「大宅門 (Dazhaimen) 」という伝統的な北京料理の店についた。

代さんが予約を入れてくれたようで直ぐ個室に通される。
ここは今年4月に楊さんが連れて行ってくれた超豪華な「大宅門 (Dazhaimen) 」と同じ名前だが系列なのだろうか?

伝統的な北京料理店「大宅門」。

「大宅門」入口の前で。

入口を入ると時代衣装を纏ったフロアガイド嬢が出迎えてくれる。

店内の様子。天井が波打つ海面のように見える。

代さん、于くんと冠り物が面白いフロアガイド嬢。

以下、初めて見る料理ばかり。せめて材料くらいは思い出せるだろうか?

羊の脛スープ。髄の中をストローで吸い周りは齧る。スープは恐ろしく薄味。

白菜の辛子漬け。辛さが鼻にツンと来た。

これは何のレバーだったっけ?

空芯采に似た野菜炒め。北京ではポピュラーな野菜だったハズ。

クラゲの黒酢和え?

ロースト小豚。肉がとろけるほど柔らかくて濃密な味。

中国豆腐の油炒め。醗酵食品系の味と香りはくせになりそう。

四角い餃子(だと思えばいい)。口に入れると中から汁がジュワッと出てくる。

油で灼いた餅のようなもの。右のニンニク味のスープを付けて食べる。

ビールは燕京(Yanjing)の小瓶。純生のラベルが笑わせてくれる。

飲み物の世話や料理の取り分けをしてくれたウエイトレス嬢。

店を出たのが1時30分。
代さんのお陰で豪勢なランチになった。初めて見る料理ばかりだったがどれも口に合って旨かった。

入院している友人を見舞いに行くビルさんと大宅門の前で分かれて代さんのオフィスに戻る。

午前中会うことができなかった情報処理製品標準符合性検査センターの王顔尊さんを訪問する。
今回初めて彼女の上司Qi Jianhuaさんを紹介された。

王顔尊さん (左) とQi Jianhuaさん。

検査センターを辞して再び地下鉄に乗る。

雍和宮(Yonghe Gong)駅から長春街(Zhangchunjie)駅まで環状3号線を半周する。
北京支社でJudithさんと展示会で使うノベルティの仕上げ方や手配する個数などを打ち合わせる。

その内にビルさんもやってきてヨーロッパや韓国、日本のGB18030ライセンスシーの状況について話し合う。あわせて中国、韓国、日本でのDigiTypeの営業状況も話し合った。

昨日髪型を変えたばかりのJudithさん。

打合せも済んだので4時半過ぎに北京支社を出てホテルに向かう。

崇文門(Chongwenmen)駅で下車。

ホテル近くのCD、DVDショップで今北京で一番売れているというCDを3タイトル買う。
一番売れている「Shin帯刺的胡蝶」が40元(約600円)、「Jay Chou」と「陶喆」がそれぞれ30元(約450円)。

5時過ぎにホテルに戻り、任科くんに電話を入れて明日の12時にホテルで落ち合うことにする。
シャワーを浴びて写真の整理。

8時過ぎに于くん、馬超さん、馬越さんと夜の北京に繰り出す。
タクシーで着いたところは西単(Xidan)。外国からの観光客の姿はなく周囲は中国の若者達ばかりだ。

西単の売店街。

西単胡同(Xidan Hutong)の細く暗い道を馬越さんはずんずん入って行く。

中国人向けの安い旅館入口の貼り紙に「…麻辣湯」とあった。

さらに暗い道を進んでゆくと崩れた無人の家や屋根の代わりに大きな綿布を掛けた家の前を通った。窓からは明かりが漏れている。通り過ぎるときに中で暮らす人の顔まで見えた。

この奥に馬越さんお薦めの店があるって言うが…。

そんな胡同の暗い道を抜けると少し先の方で若者達が群れている。

人垣越しに覗くと煉瓦塀についた赤い鉄の扉の上に「十五号」と書かれた赤い提灯が二つ。馬超さんが目指してきた店だ。北京の若者の間で今一番ホットな場所でインターネットの口コミで一気にその名が広まったのだそうだ。

1週間前に予約しないと入れないほどの人気店だと馬超さん。彼女も未だ一度も入れたことがないそうだ。予約無しの我らが一行は今日はどうしてもここに入ると言う馬超さんの勢いと粘りで、入口の外で客の予約を確認している店員との交渉が始まった。

何度か押し問答を繰り返していたが店の中に引っ込んでいた先ほどの店員が我が一行を手招きしている。予約客を尻目に店内に入いる。さすが馬超さん交渉事も得意のようだ。

ドアの中は中庭になっていて、その中庭を囲むように小さな部屋が並んでいる。その内の一つに通される。四畳半くらいの広さだろうか手作りのテーブルに不揃いのいすが置いてある。

馬超さんと馬越さんがどんどん料理を注文する。

何処でだったか忘れてしまったが初めて揚げピーナツが出てきた時に、手づかみで口に運ぶと于くんが変な顔をしたのを思い出す。中国では必ず箸でつまむのに何故手づかみなんだ? エッ、箸で食べるのか? 日本では箸でピーナッツを食べる奴はいないよ。

ビールを頼んだら北京では珍しい青島ビールだった。

揚げピーナッツ、ポテトサラダ、モヤシ炒め、筍サラダ、胡瓜の酢の物。

十五号の目玉だという鶏の手羽先の串焼きは甘いタレで焼いてたっぷりと唐辛子がまぶしてあり真っ赤な身が刺してあるように見える。

于くんもこの辛さに閉口していた。辛いのが平気な人には絶品。

北京と言うよりベトナムか何処かのような店内。

北京では珍しい青島ビール。

店から出てきたら未だ入店待ちの客がいた。

「十五号」と言うのは15号店と言う意味ではなく西単胡同のこの店の住所なんだと馬超さんが教えてくれた。

食後は真直ぐホテルに戻る。

11時過ぎに待ち合わせた于くんの友人に会いにホテルの横手のマクドナルド店前に下りてゆく。

8年振りの再会となる友人は内モンゴルから北京に出張してきた常春青(Chang Chunqing)くん。
一度彼の前を通り過ぎたが無事再会。

飲みに行くことになり昨夜と同じ鬼街の「仔仔魚蝦烤坊」に行く。

内モンゴルから来た常くんは非常に素朴な人で、本人は田舎者で野暮だと言いながら内モンゴルの白酒・蒙古王とビールでトツトツと話し続ける。

彼は現在、内モンゴルの食品工場で購買部部長をしているそうだ。

初めはこちらを人見知りしていたようだが飲む内に打ち解けて、于くんとの古く長い友情に『乾杯!』から始まり、次は誰の健康に、そして彼の幸せにと『乾杯』の理由をでっち上げてはひたすらグラスを空け続けた。

その後は残念ながら記憶がない。
常くんの『乾杯!』にやっつけられた。


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