【5月10日(火】大津
部屋のベランダに出るとまじかに見える東山連峰が黄緑の若葉でまだらに覆われている。
ベランダまで若葉の青い匂いが流れてくる。黄緑の若葉をつけているのは何の木だろう。
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ベランダから北を見れば東山連峰が間近に見える。 |
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ベランダから西方面を見る。目の前の小山は金戒光明寺、その奥に霞む北山連峰。 |
朝食はメインダイニング「グランドビュー」の和食にする。
食事をしながら山を黄緑色でまだら模様にしている木のことをウエイトレス嬢に聞いてみた。彼女も地元の人間だそうだが名前を知らないのだという。
のんびりと朝食をすませ10時少し前にホテルを出て琵琶湖に向けて出発。
タクシーで京都駅にでる。
京都駅から琵琶湖線(東海本道線)で10分あまり、10時30分頃には大津駅に着いてしまった。
琵琶湖に触れることができる京都から一番近い所だろう。
それにしても琵琶湖が京都からこんなに近い所にあったとは。不勉強と無精の結果だ。
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大津駅北口の東端。 |
観光案内所を大津駅の二階で見つけて、観光パンフレットをかねた地図をもらい琵琶湖への道順を教えてもらう。
大津駅北口に出て駅に沿って西(左)に進み交番の前を寂れたアーケードの下を大津港方面に向かって北(右)に下りてゆく。
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大津駅北口を西端から見る。右の高い建物は大津シャンピアホテル。 |
中央二丁目南交叉点で旧道と交わる。
信号の右が東海道に、左が北国街道に続いている。明るい5月の陽射しの下、誰もいない旧道が左右に真直ぐに伸びている。
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信号右側は旧東海道。誰も通らない交叉点で信号が色を変えていた。 |
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信号左側。この奥を右折すると琵琶湖の西岸に沿って北上する西近江路に続いてゆく。 |
信号を渡って旧道を突っ切る。
四つ角に建つ民家の生け垣に「てっせん」の鮮やかな紫が強い陽射しを受けて色を濃くしていた。
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民家の生け垣に咲くてっせんの花。 |
中央二丁目の交叉点を左に行くと高いアーケードの中町商店街が見える。
アーケードの下をしばらく行くと左側に山車のレリーフが見えて来る。大津祭曳山展示館だ。
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展示館前の山車のレリーフ。
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山王祭、長浜曳山祭と並んで湖国三大祭の一つに数えられる大津祭は、からくり人形とお囃子をのせた13基の山車(曳山と言うそうだ)が10月中旬の街を練り歩く、その起原を1638年(寛永15年)に遡る祭だ。
大津祭曳山展示館の1階に曳山が一基飾られている。
係りの説明によると実際の曳山(丸屋町の「西王母山」)を模したレプリカだそうだ。
二階屋ほどの高さがある三輪の山車だ。西王母というのは中国の崑崙山に住むといわれた仙女で、桃の実を以て不老長寿を祝ったのだと展示館のパンフレットにあった。
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丸屋町の曳山「西王母山」のレプリカ。
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レプリカ前に設けられているスイッチを押すとからくり人形が動き出した。
桃の実を載せたバーがせり出し、桃がが割れて中から唐子衣装の童子が現れる。
しばらく踊って実の中に戻ってゆく。からくり人形の一連の動きを「所望」というそうだが、桃で長寿を祝ったという西王母伝説と桃太郎の話を結びつけたのが西王母山の所望だという。
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スイッチを押すと左側の小さな人形が桃から飛び出してからくりが始まった。
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館内には他に曳山巡行やからくり人形の様子を伝えるビデオ、曳山を飾る装飾などが展示されており大津祭の様子がくわしく紹介されていた。
中町商店街から徒歩で10分ほど歩くと大津港だ。
京阪浜大津駅脇を抜けたこの辺は大津駅前よりも賑やかな雰囲気が漂う。今日はウィークデーのせいか広い遊歩道に人陰は無いが琵琶湖畔の総合レジャースポット「浜大津アーカス」が眼をひいた。
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後ろが「浜大津アーカス」。 |
港から琵琶湖を一望する。
始めてみる歴史の舞台となった日本一大きな湖に少しだけ感動した。
大津駅の観光案内所でもらったパンフレットに「要予約」とある遊覧船「MICHIGAN」はチケット売り場で聞いてみたら予約不要で乗れると言う。
10分ほどで出発するというのでチケットを買い乗船を待つ50人ほどの観光客の列に加わる。
12:00に大津港を出発して13:30に同じ大津港に戻って来る約90分間の琵琶湖遊覧で乗船料は一人2,600円。
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大津港に停泊する外輪船MICHIGAN。 |
MICHIGANは大津市がアメリカミシガン州ランシング市と姉妹都市であることから1982年に就航したそうだ。
定員787人のショーボートに乗船した50人ほどの乗客は何処へ収まったのやら船内はがらんとしている。
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MICHIGANのトップデッキに据えられたスチームオルガン。 |
大津港防波堤に設けられた琵琶湖花噴水が出港するMICHIGANを見送るように形を変えて青空目指して吹き上げている。
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防波堤の琵琶湖花噴水の後ろは比叡山方面。
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船は琵琶湖の中程まで進んで来たのに未だ西岸も東岸も見える。琵琶湖よりも小さい霞ヶ浦でさえ対岸は見えないのにこんなもんなのかなと思いつつトップデッキで辺を見回しながら五月の風に吹かれた。
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琵琶湖の真ん中辺りまで進んで東岸を見る。 |
3階のBECKY'S SQUARのステージでサキソフォーン、バンジョー、ギターの三人によるデキシーランドジャズバンドの演奏が始まる。バンドの名前を忘れてしまったがアメリカから出稼ぎに来ている人達だ。
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BECKY'S SQUARのステージで熱演が続く。 |
BECKY'S SQUARのステージの演奏を後に2階のHUCKLEBERRY CAFEに戻る。乗船直後は数組いた客もいなくなっていた。広いカフェの中でのんびり座っていると船の中にいることを忘れてしまう。
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がらんとしたHUCKLEBERRY CAFE内部。 |
HUCKLEBERRY CAFEの三人の美人スタッフ達は終始にこやかで丁寧だった。
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HUCKLEBERRY CAFEのKHさん、TTさん、MTさん。
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船を降りてから大津駅前の土産物売り場に貼ってある琵琶湖観光ポスターのMICHIGAN 90の琵琶湖遊覧コースを見て、なぜ船から琵琶湖の対岸が見えたのかが分かった。
なんと船は琵琶湖大橋よりも南、盲腸のような部分を回っただけだったのだ。
琵琶湖遊覧という言葉に琵琶湖を一巡するものと思い込み、琵琶湖の形と大津の位置をきちんと認識していなかった。ちょっと考えれば分りそうなものを先入観と認識不足が琵琶湖を小さくしていた。
ホテルには京都駅八条口から送迎バスで4時頃に戻り、気になっていた5階の中庭に出てみる。ホテルの案内によると彫刻家井上武吉の手になる「哲学の庭」と名付けられた中庭で、大きな石の樋を東山の水の流れ落ちている。
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空中庭園の趣がある哲学の庭。 |
夕食はホテル内で済ませることにして館内のレストランを一通り下見し「京料理浜作」に決める。京懐石を頼んだが私達には珍しい竹の子料理が印象に残った。
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