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  2005年12月:翠鸞ライブ

【12月3日】翠鸞ライブ

小さなエレベーターが5階で停まるとバスドラムとベースギターの重い音が未だ開かないエレベーターの扉からしみ込んで来る。狭いエレベーターホールに出るとその重い音が直ぐ左手の黒く塗られた重そうなスタジオドアの奥から漏れて来る。階段脇に設けられたチケット売り場で入場料を払い手の甲に再入場用のスタンプを捺してもらう。固く締まったスタジオドアの把手を両手で引き降ろし重いドアを開ける。スタジオドアは本格的な二重ドア、開いたドアの奥に同じ把手の付いたドアがもう一つ。

二つ目のドアの中は厚く圧縮された音が詰まっていた。暗い会場は三十人程の若者達が音と一緒に圧縮されてしまったかのように立ち尽くし、ゆらゆら揺れている。

翠鸞。「すいらん」と読む。緑の赤い鳥の意か?

  • 【鸞】(らん)(1) 想像上の鳥。鳳凰の一種で羽は赤色に五色を交え、鳴き声は五音の律に合うと言われる。(2) 天使の馬車につける鈴。(漢字源より)

今日まで翠鸞を誤解していたようだ。今夜のステージで彼等の本当の音を聞いた。
下北沢「屋根裏」で聞いた初めての翠鸞はひどい音だった。パートのバランスは悪いしボーカルは何も訴えかけて来ないし。それが今夜は非常に鮮明でバランスのとれた音像を見せてくれた。もちろん浅井さんの透明なボーカルが翠鸞のメッセージを力強く訴えて来た。

都会がその雑踏の中に塗り込めてしまった日本の原風景を、翠鸞は必死に掘り起こして見せてくれているようだ。
中域から高域にかけての艶やかで透明な浅井さんのボーカルが、バックのギター(植松達郎さん)、ベース(仲里豊さん)、ドラムス(稲森勉さん)が紡ぎ上げる音像に乗って飛翔する。

どうやら翠鸞の音に対する私の誤解は初めてその演奏に接したスタジオのコンディションによるものだったようだ。
今夜のライブ会場は新宿歌舞伎町「Motion」。そのステージに対面する壁面は無反響タイルで覆われガラス窓も上部が大きく外に傾斜している。当然スタジオ内に溢れる音は濁らず抜けがいい。バンドの真の姿が見えるというものだ。

中域から高域にかけての艶と透明な声が魅力の浅井優子さん。

控え目だがここぞという時にはラインがほとばしる植松達郎さん、もっと聞かせて欲しい。

どのストロークも淀みなく、流れるような基調を作る仲里豊さん。

翠鸞のコンセプトを支えている稲森勉さんの強面は見た目だけ、穏やかな人柄のようだ。