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  2006年6月:関宿滑空場
関宿滑空場・SAF飛行クラブ冠水Dimona JA2407

【6月24日(土)】Dimona JA2407

雨が降る様子もない午後バイクを引っぱり出して関宿滑空場に向かう。
関口さんにはタイミングを見て…と数日前に返事を出したばかりだが、こんなに早く関宿再訪になるとは。果たして関口さんは滑空場にいるかな?

5月に始めてお邪魔した時は自転車で江戸川の土手の上を行ったのだが今日は土手下の一般道を走ればいいだろうと簡単に考えて走り始めた。これが大間違い。自転車で走った時に見かけた土手下の一般道は途切れ途切れで、最後は勘にたよって走ったために結構な大回りをしてしまったようだ。

滑空場に着いて土手を降りるとワンボックスカーが一台、傍らに青いパラソルを張ったテーブルとベンチ。若い女生とやや年輩の男性が座っている。前回訪問した時はもっと大勢の人がいたのに一寸寂しい。
近づいて自己紹介をすると快くベンチをすすめてくれた。少し話しをすると若い女性は何と関口さんの奥さん、男性はグライダーの教官をしている五島さんだと関口夫人が紹介してくれた。

そのうちに軽いエンジン音とともに関口さんと教官の久野さんが空から降りてきた。二人が乗った機は複座のモーターグライダー"Dimona JA2407"。

着陸直後の"Dimona JA2407"と久野さん(左)、関口さん(右)。

"Dimona"が搭載しているのは2000ccにボアアップしたVWの4気筒1200ccエンジンだという。この型のモーターグライダーは日本に4機しかないそうだ。

2000ccにボアアップしたVWの4気筒1200ccエンジン。

今日の関宿滑空場は関口さん達が独占状態、他に滑空場に出ている機はない。

6月22日はここが冠水してしまったわけだ。後方は関口さん一行。

関口さんご夫妻や五島さんに薦められ久野さんの操縦で"Dimona"に乗せていただいた。自転車の後ろにでも乗せてくれるような気軽な調子で勧めてくれたのだ。
こちらはモーターグライダーもグライダーも初体験、ワクワク・ドキドキしない方がおかしい。

私たち以外には誰もいない滑空場。

土手下から川上側に向かってタキシング。滑走路は見ての通り刈り込まれているとは言え草が生えている。機首を川下に向けて離陸に向けて加速してゆく。ひどい揺れを覚悟していたのだがそれほどのこともなかった。久野さんの腕前のお陰なのかもしれない。

アッと言う間の離陸だ。『フワッ』っと離陸するというのは嘘だった。"Dimona"は何と言ってもグライダーだ。その大きな翼が受ける風の力は大きく直接的だ。風の濃淡にダイレクトに反応しているのが身体に伝わって来る。バイクでダートを走る感じを空の上で大きなスケールにして体感しているようだった。

高度は1400ft(420m)から1500ft(450m)、巡行速度は100km/hから150km/h。速度はもっと早いのかと思っていた。空は交叉点無し、信号機無しだ。

飛行中の"Dimona JA2407"の計器盤。

ヘッドセットを通して久野さんと今回の初体験の感想を話したり地上の建物を教えていただいたりして気分は一丁前の空の男だ。時々当たる強い風に機体が心許な気に揺れるのが人間サイズの乗り物らしくてイイ。

風防に付けられた小さな引き窓からレンズを覗かせて下界を撮影、カメラが風圧で飛ばされそうだった。久野さんは風に応えるかのように両腿の間から出ている操縦桿を常に微妙に操作していた。

操縦席側の風防にも付けられている小さな引き窓。

江戸川の周囲に青々と広がる田園はヘイズがかかったように霞んでいた。

離陸直後の江戸川と河川敷き。上側が春日部市。

ここは春日部市上空。右手は江戸川。

画面左の外側で分岐して流れる利根川(画面上)と江戸川(左下)。

真ん中の橋の直ぐ上手に関宿城が見える。

モーターグライダーは飛行機の分類ではセスナなどの軽飛行機の下に位置付けられているそうだが、久野さんの話しによると性能の良いモーターグライダーの方が軽飛行機よりも速度が早いそうだ。
グライダーが自転車ならモーターグライダーは原動機付き自転車と言う感じだと説明してくれた。分かりやすい。

着地寸前の"Dimona"はバイクならさしづめ原付き(関口さん撮影)。

着陸は離陸よりも難しいとは良く聞くことだが今回はその意味が良く分かった。足下が見えない上に速度が早い状況でスムーズに機体を接地させるのは、車のを運転するときに要求される車体感覚とは比較にならないセンスが要求されるのだと思う。久野さんの操縦はいつ接地したのか分らないうちに終わっておりタキシングで出発点に戻った。

すっかりリフレッシュされた表情になっている(関口さん撮影)。

わくわくする初体験から地上に降りるとテーブルのメンバーが一人ふえている。関口さんが"H32"を復元した佐藤さんだと紹介してくれた。

五島 登さんは平成17(2005)年度 財団法人 日本航空協会の航空関係者表彰で『学生航空連盟のリーダーとして50年の長きに亘り後進の指導育成にあたり、グライダーの操縦技術向上や振興発展に貢献』したとしてエア・スポーツ・メダル(Air Sports Medal)を受賞されている。

佐藤一郎さんは"H32"の生みの親であり、30年以上の長きにわたって(財)日本航空協会で航空スポーツ全般の仕事に携わり活躍されてきた。1968年に第1期・運輸省(現国土交通省)航空局・耐空検査員に就任されており現在も活躍中とのこと(後藤加代子さんの「悠遊レポート・02」を参考にさせていただきました)。

お二方ともグライダーの世界では偉い方々だったんだ。

左から関口さん、久野さん、五島さん、関口夫人、佐藤さん。

今日は思いもかけず貴重な体験をさせていただいた。関口さんご夫妻、久野さん、五島さん、エンジンの面白い話しをしてくださった佐藤さん、ありがとうございました。これからもときどき関宿滑空場にお邪魔させていただきます。

  • このページの滑空場、飛行クラブ、機体などのの情報はすべてSAF飛行クラブの関口庄一さんと学生航空連盟(SAF) 教官・久野浩樹さんに提供していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
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