【8月26日(木)】フースアン
ヴィンギエム寺を出てからもう一度ディエンビエンフー通りを辿って海福寺の近くまで戻る。
古いフエの料理を出すというレストランを探す。ディンティエンホアン(Dinh Tien Hoang)通りにあるはずだ。この辺りと思うところで中国風レストランの前に立つドア・ボーイがいたので、どんな料理を出す店なのか声をかけてみた。中国料理だという。
この近くにある「フースアン」という店を探しているのだがどこにあるか知らないかと聞くと、『アッ、それならこの店ですよ。』
改めて庇の下の看板を見るとなるほど「Phu Xuan(フースアン)」と書いてある。
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ドア・ボーイくんとフースアンの看板。 |
フースアンのオーナーは元王族でフエ文化研究者。夫人と共に一族に伝わる宮廷料理を出しているという。
店内は落ち着いた雰囲気でテーブル上のナプキンが高級感を演出している。勧められた奧のテーブルについてメニューを見ているところに二人連れの女性が入ってきた。日本人だ。
注文を聞きに来たボーイに、初めて来たので何を頼んでいいのか分からないと言うと、それならコース料理がいいでしょう。一緒に333ビールを頼む。
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シックな店内。 |
◆Banh Beo THIEN MU(バイン・ベオ)
蒸した米粉に海老のみじん切り振りかけ。ソースは魚醤ベース。
◆Cuon Diep DA VIEN(クォン・ディエ)
レタスで巻いた春巻き。ソースは砕いた木の実入り。
◆Ram PHU XUAN(ラム・フースアン)
フースアン特製揚げ春巻き。ソースは砕いた木の実入り。
◆Banh La Cha Tom VI DA(バン・ラー・チャ・トム)
米粉と海老のすり身をバナナの皮で包んで蒸し上げてある。ソースは魚醤ベース。
◆Xoi Bon-Ga Nuong LONG THO(ソイ・ボンガ・ヌォン)
揚げ餅と鶏肉の網焼きレモン葉添え。
◆Goi Ga NGUYET BIEU(ゴイガ)
麺、ピーナッツ、鶏肉、タマゴ、ポーク・パイ、海老と野菜。
◆Long Tha MY CHANH(ロン・チャ)
刻んだ牛の胃入り鶏肉スープ。
◆Com Sen TINH TAM(コム・セン)
蓮の実、鶏肉、海老、ポーク・パイ、サワー・ポークなどの蓮の葉包み蒸し飯。醤油ベースの甘口ソースをかける。
◆Che Sen(チェー・セン)
蓮の実入りチェー。
◆Lotus Tea(蓮茶)
料理はどれも繊細にして重厚。333ビールはやはり缶のまま出てきたが流石にゴブレットに注いでくれた。料理が22USD(約1,936円)、ビールが3USD(約264円)で〆て25USD(約2,200円)。
サービスに当たる ボーイくん達は皆英語が達者。中に一人おかしな日本語で丁寧語を使うボーイがいた。ガイドブックに紹介されているから日本人客も多いのだろう。
店内には日本から贈られたという賞状が誇らしげに掛けてある。読んでみると昭和二年に日本政府が南ベトナム司法大臣トラン・ディン・バックに勲五等を贈ったものだ。
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天佑ヲ保有シ萬世一系ノ帝祚ヲ踐タル 日本國皇帝ハ安南国司法大臣 トラン、ディン、バックヲ明治勲章ノ 勲五等ニ叙シ雙光旭日章ヲ贈與シ
朕カ慈愛ノ意ヲ表ス 神武天皇即位紀元二千五百八十七年 昭和二年六月二十日東京帝宮ニ於テ璽ヲ鈐セシム 昭和二年六月二十日 賞勲局總裁従四位勲二等天岡直嘉
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テーブルも椅子も重厚な店内は確かに中国の雰囲気だ。
先ほどのドアボーイくん、ここが伝統的なベトナム・フエ料理のレストランだと言うことを教えられていないのかもしれない。
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重厚なテーブルと椅子。 |
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いつまでも見送ってくれたドア・ボーイくん。 |
店を出て外観を撮ろうと道路を反対側に渡る。先ほどのドア・ボーイくんはこちらが歩き出すまでいつまでも見送ってくれていた。
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