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  2010年11月:松虫寺
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【松虫寺 薬師堂】

仁王門を入って正面が松虫寺の本尊、薬師瑠璃光如来七躯(七仏薬師如来像/重要文化財)を祀った薬師堂で、仁王門と同じ1718(享保3)年に再建されている。

薬師堂。

本尊の七仏薬師如来像は、現在、重要文化財仏像保管庫として建てられた瑠璃光殿に移されている。

薬師堂正面、向拝(ごはい/こうはい)の奧に扁額を覆って大きな武者凧が奉納されている。
凧の右上に「宇治川の合戦」とあるから、描かれている二人の武者は「宇治川の先陣争い」で知られた佐々木高綱と梶原景季だろうか。何故、「宇治川の先陣争い」の凧がここに奉納されているんだろう。

宇治川の合戦を描いた凧。

向拝の頭貫に載る蟇股(かえるまた)の彫刻は大分風化が進んでいるが、何やら語り合う様の三人像が認められる。

何を語り合うのか蟇股の三人像。

向拝に近づいて見ると向拝柱、柱に載る皿、斗栱(ときょう)、頭貫(かしらぬき)、虹梁(こうりょう)、木鼻は朱塗りだったことが分かる。虹梁の木鼻は獅子で頭貫の木鼻は像ではなく獏か。

嘗ては朱塗りだった向拝回り。

向拝の裏側に回ってみると垂木の下に手挟(たばさみ/てばさみ)は花のようだ。葉の形や花びらが折り重なっている様子から菊の花だろうか。

手挟も垂木も朱色に塗られていたことが分かる。

軒桁の間にある彫刻も蟇股か。その上の彫刻部分は拳鼻(こぶしばな)か、定かではない。

軒桁の蟇股とその上にある彫刻。

武者凧の影に隠れてしまった扁額は釈雲照によるもの。

瑠璃閣と読める扁額。

扁額に並んで奉納された絵馬が掛かっている。絵馬の中央上部には青く塗られた二層の盛り土が、下の方には暴れる猪に立ち向かう武者の姿が描かれているが、題材もいつ頃のものなのかも不明。

暴れ回る獅子に立ち向かう武者が描かれた絵馬。

こちらは文字が薄れているが、一番大きな文字は「奉納七佛薬師如来○○○」、右端には「「明治三十八年戦後○○○○○」と読める。ビッシリと書かれた小さな文字は人の名前だ。

奉納七佛薬師如来とかかれた額。


左奧に松虫姫神社が見える。


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