【7月4日(月)曇り】寺院巡り4
◆ 謝国明の墓(大楠様)
若八幡宮の前にある福岡市水道局の間を抜けて出来街通りを左折、御笠川の手前に大きな楠が見える。地元では「大楠様」と呼ばれている承天寺の建立に尽力した謝国明の墓所だ。謝国明は13世紀の博多において日宋貿易を通じて博多の街の発展に貢献した中国・宋の帰化人で、「大楠様」は愛称、正確には承天寺分境内になっている。
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大楠様。 |
謝國明は宋からの文化を伝承し、僧侶を始めとする当時の文化人の中国渡航を支援し博多の発展に寄与した。 その生涯は諸説あるが1280(弘安3)年10月7日88歳で没し、承天寺の東の外れの地に埋葬され、その上に「地・水・火・風・空」を表す「五福塔」が建立されたという。
1930年代(昭和)初期まではその「五福塔」の先端が確認されており、大変な信仰を集め多数の参詣者があったと言われている。
その五福塔の横に一本の楠の木が植えられ、成長するにつれ五福塔を包み込み大樹に成長したという。当時の楠の木は今は枯れてしまったが「大楠様」という名を守るべく町民によって1973(昭和48)年に隣に植えられた楠の木が繁茂しております。
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手前が往時の楠、奥が新しく植えられた楠。 |
楠の奥に「南無……」とだけ判読できる石碑が、さらにその奥には小さな祠と謝國明を顕彰する碑が立っている。
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「南無……」とだけ判読できる石碑とその奥の祠、右が顕彰碑。 |
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謝國明顕彰碑。 |
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顕彰碑の一部。 |
祠の内部には僧形をした像が一体、その前「三界萬霊位」と書かれた位牌がある。
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祠内部。 |
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説明がないので何方なのかは不明。 |
大楠様を後にして博多千年門の前まで戻ると「うどん」の幕が掛かる白壁造りが見える。ちょうど昼時、ここでランチにする。
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博多千年門左隣のうどん屋。 |
見えの名前は「春月庵」。
肉うどんを注文したら『何玉にしますか?』に『一玉でいいです』。
食べ終わるまでに『半玉もありますよ』と三回も聞かれた。それでこんなに器がでかいのか、一玉で十分だ!
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肉うどん。 |
肉うどんで腹ごしらえもできた。春月庵の前の道を道なりに辿るともう一つの承天寺の前に出る。承天寺 仏殿と呼ばれる寺院だ。
◆ 萬松山 承天寺 仏殿(ばんしょうざん しょうてんじ ぶつでん)。
承天寺の境内は市道によって北東区と南西区に分かれている。本堂や墓地などは北東区に山門や仏殿は南西区にと分かれている。
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扉に菊の紋があるので勅使門だと思う。 |
勅使門の前に置かれているのは「山笠發祥之地」を記した石柱。
博多祇園山笠は1241(仁治2)年に博多に疫病が流行した折に、聖一国師が町民に担がせた施餓鬼棚に乗って町中を水を撒きながら祈祷して廻わり、病魔を退散させた事に由来すると言われている。
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「山笠發祥之地」の碑。 |
勅使門の右側に山門が設けられている。
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山門。 |
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山門の扁額。 |
山門を入ると鐘楼の前だ。
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鐘楼。 |
勅使門の裏正面に建つのが仏殿(覺皇殿)で、その前に一基ポツンと立つ灯篭が印象てきだ。
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仏殿(覺皇殿)と灯籠。 |
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仏殿の扁額「覺皇殿」。 |
仏殿に収められている釈迦三尊像は鎌倉期の作とされる国指定の重要文化財に指定されている。
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釈迦三尊像。 |
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釈迦三尊像(上の写真と同じ)。 |
仏殿の前、左側に置かれている石は出土地不明の「蒙古碇石」で 209.0(長)x 29.0(幅)x 24.0(厚)センチメートルある。
博多湾を中心として発見される蒙古碇石は、碇として固定するための工夫がみられる。
供養塔に転用されたものもあり、1302(正安4)年や1358(延文3)年などの年号が彫り刻まれているものもある。
二度にわたる蒙古襲来(1274年と1281年)時に、元の軍船に使用されていた可能性は高いが、平安時代以来、頻繁に来航した宋の商船に装着されていた可能性も少なくない。
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蒙古碇石。 |
仏殿の左手に建つのが承天寺の宝物殿「圓明閣」。
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圓明閣。 |
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圓明閣に掛かる扁額「圓明」。 |
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